
診療科のご案内

診療科の概要・実績
【現在の組織概要】
当院は、京都府がん診療連携拠点病院として質の高いがん医療を提供するとともに、緩和ケアの拡充を目指しています。緩和ケアセンターでは、当院での緩和ケアを提供するだけでなく、地域での緩和ケアチーム・緩和ケア外来・緩和ケア病棟等を有機的に連携することも目標としています。具体的には、
- 患者さんの身体的苦痛や心理社会的苦痛などのスクリーニング
- 専門相談支援
- 地域連携支援
- 教育・研修
- 診療情報の集約・分析
などの活動を行い、緩和ケアの拡充を図っています。
【診療実績】
診療集計を開始した2009年のがんサポートチームへの新規依頼は393件でしたが、2022年度の緩和ケアチームへの新規の依頼は566件であり、年次推移は全体として右肩上がりになっています。

各診療科とまんべんなく連携し、がんだけでなくがん以外の疾患や小児の緩和ケアにも積極的に従事しています。

京大診療科別緩和ケアチーム依頼件数(計566件)
- ◼︎耳鼻咽喉科
- ◼︎産科・婦人科
- ◼︎泌尿器科
- ◼︎消化器内科
- ◼︎呼吸器内科
- ◼︎血液内科
- ◼︎消化管外科
- ◼︎乳腺外科
- ◼︎循環器内科
- ◼︎肝胆脾移植外科
- ◼︎腫瘍内科
- ◼︎小児科
- ◼︎脳神経外科
- ◼︎放射線治療科
- ◼︎整形外科
- ◼︎呼吸器外科
- ◼︎皮膚科
- ◼︎初期診療・救急科
- ◼︎心臓血管外科
- ◼︎免疫・膠原病内科
- ◼︎脳神経内科
- ◼︎腎臓内科
- ◼︎麻酔科
【今後の展望】
国立がんセンターの統計によれば、2022年度のがん罹患数予測は101万人超で、2022年度のがん死亡者数は38万人超ですが、2023年4月1日現在の日本緩和医療学会専門医は335人、日本緩和医療学会認定医は1032人で、両方合わせて1300人超しかいません。専門的緩和ケアの提供者は専門医や認定医だけでなく、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど他の医療従事者も含まれ、各科の医師や看護師なども基本的緩和ケアを提供しますが、専門医や認定医の数は緩和ケア従事者数の指標のひとつと考えられます。緩和ケアはがん終末期のケアだけでなく、治療期の支持療法の役割も果たしており、全国のがん患者さんの数に対して明らかに足りません。近年はがん以外の疾患への緩和ケアの拡大も求められ、より人手不足の影響が懸念されます。かつて本邦に緩和ケアが海外から持ち込まれた際、大学で講座制を取り専門的緩和ケアの提供者を定期的に輩出するステップが欠けていました。一方で、地域の中で緩和ケア医を育てるシステムが新たに勃興しつつあります。2024年から嶋田和貴が科長に着任しましたが、今後も診療、研究、教育を通じて、地域医療機関と連携し、専門的緩和ケアの提供者の育成を進めたいと考えています。